この週の番組では、
今月26日、
つまり本日ッ、
なんと、生誕100年を迎える、
ぼくが最も敬愛する、最も影響を受けたヴァイオリニストの音楽を、熱く、じっくり特集していきましたッ♪
まずは、ぼくが彼とはじめて出会った、
1990年の渋谷での演奏からッ♪
1. I'm Comming Varginia/Stephane Grappelli
収録アルバム
Stephane Grappelli in Tokyo
そうなのよッ☆
ぼくがはじめて彼の音楽に触れた瞬間が、
まるで真空パックされたように、このアルバムの中に収められているんですッ!
ぼく自身、5歳からヴァイオリンを弾いてきて、
彼の演奏をはじめて聴いた時は、ほんと、ショックを受けました。
「ヴァイオリンって、こんなに自由なんだッ」
「自由でいていいんだッ」って、生まれてはじめて思ったんだよなぁ。
もしかしたら、それまでにも、
同じことを言葉で伝えてくれてた人はいたかもしれないけど、
今、目の前でヴァイオリンを弾く彼は、
言葉ではなく演奏で、
つまり、姿勢や生き様を通して、
何より雄弁に、そのことを教えてくれたんだよね。
これは衝撃だったなぁ。
上のリンク先では、CD購入はもちろん、
PCで試聴もできるので、
ぜひともクリックしてみてくださいッ♪
あの夜は、
「今、目の前で繰り広げられているコンサートが、永遠に続いたらいいのに」と思う自分と、
「1分でも早く家に帰ってヴァイオリン弾きたいッ」という衝動が同時にこみ上げてきて、
ほんと、しあわせで、
刺激的な出会いでした。
そしてこの瞬間から、
ぼくは彼の奏でる音楽のとりこになりました。
2. Chatanooga Choo Choo/Stephane Grapellie
収録アルバム
Olympia 88
イントロから、蒸気機関車がゆっくり走り出す風景そのもの、
そしてエンディングでは、ヴァイオリンで汽笛の音まねまで聴こえてくる、
実に軽快な演奏ですッ♪
この録音は、1988年、ステファン80歳の、パリ、オランピア劇場でのライブなんだけど、
みずみずしく,しゃれっ気たっぷりのスウィングは、
とてもじゃないが、80歳のおじいちゃんが弾いてるようには聴こえませんッ☆
ステファン・グラッペリは、
1908年1月26日、フランスに生まれました。
子どもの頃は、とても貧しかったそうで、
粘土を集めて、近所に住んでいた芸術家に売ったりしてたんだって。
そして、彼が集めた粘土を買ってくれていたのが、あのピカソだったそうッ☆
なんだか映画みたいな、フランスならではの話だよねぇ。
3. Minor Swing/Django reinhardt
収録アルバム
ジャンゴロジー~スペシャル・エディション
まだステファンが若い頃の、なんと《SP盤》からの復刻ですッ♪
何年前になるのかな。
講演ライブでおじゃました岐阜県明智町成人式での本番が終わった後、
近くにある
《大正村》
というところに行ったんだけど、
そこにある喫茶店に置いてあった蓄音機で、
お店の人が、古いSP盤をかけてくれたことがありました。
そろそろ陽が傾きかけてる店内に立ち込める、
珈琲の香りとともに聴く古い唱歌。
う?ん。オツだったなぁ。
ここで紹介している曲も、《Minor Swing》というタイトルどおり、
憂いを帯びたメロディを、
ヴァイオリンじゃなくて、《ビオロン》って呼ぶ方がふさわしいような音色で奏でられていて、
んもう絶品ですッ☆
そしてそしてッ!
ここでギターを弾いている、ジャンゴ・ラインハルトこそ、
伝説のジプシーギタリストッ♪
なんと、彼の誕生日も、1月23日ッ☆
ステファンより2歳若くて、つまり、生誕98年ということですね。
実はこのジャンゴ・ラインハルトというギタリスト、
生粋のジプシーで、
若い頃は家ではなく、馬車の中で生活してたんだってッ☆
そしてある時、馬車が火事になって、
左手の薬指と小指に大やけどを負ってしまったそうです。
この2本の指は、
ギタリストにとって、弦を押さえるのに、ものすごく大切なんだよね。
そんな指が、しかも2本も動かなくなっちゃった彼が編み出したのが、
このすさまじい奏法。
いやぁ、まさに一音入魂ッ!
ジャンゴは今も、世界中のギタリストのあこがれの存在なんだよね。
もちろんぼくも、彼の華麗で妖艶なギターが大好きですッ☆
4. These Foolish Things/Stephane Grappelli
収録アルバム
Flamingo
打って変わって、晩年の演奏が聴けるのが、このアルバム。
90歳に近づいたステファンの指は、
もう、あまり回らなくなってきてるんだけど、
それが、全盛期からの《おとろえ》ではなくて、
なんとも言えない味になるんだよねぇ。
まさに、人が生きてきて、
刻んできた年輪を感じる演奏だと思います。
ぼくはそんな晩年の演奏が、とにかく好きなんだよね。
このアルバムも、リンク先で試聴ができるので、
ぜひ聴いてみてくださいッ♪
実はぼくは、
ステファン・グラッペリに、一度だけ、会ったことがあるんです。
結果として、彼の最後の来日となってしまったコンサートが終わった後、
アポなしで、楽屋におじゃましたんだよね。
それまでのぼくなら、
「きっとアポなしじゃ会ってくれないよ」とか、
「演奏した後だから、疲れてるだろうなぁ」とか、
自分自身で言い訳を作って、
会いに行くなんて決してしなかったと思うんだけど、
なぜかあの時だけは、
「今しかないッ」って思ったんだよなぁ。
会えるかどうかなんてことはおろか、
会ったら何を話そうかとか、
まるっきり考える余裕なくて、
とにかく楽屋口まで行ってみました。
そうしたら、彼はとてもにこやかに出迎えてくれてね。
その時ぼくは、盲導犬のエルムといっしょに歩いていて。
「なでてもいいかい?」って。
「ぼくも盲目のピアニストといっしょにやってたことがあったよ。
あれは確か、第二次世界大戦の前だったかなぁ」なんて話をしてくれて。(笑)
いやぁ、しあわせだったなぁ。
それからしばらくして、彼が永眠したというニュースを聞きました。
5. As Time Goes By/Stephane Grappelli
収録アルバム
Stephane Grappelli in Tokyo
1曲目に紹介したのと同じ、東京でのライブ盤から、
映画
《カサブランカ》
のテーマソングとして、あまりにも有名なメロディです。
この曲を演奏する前に、ステファン自ら、曲紹介をしてくれてるんだよね。
ここをクリック
して表示された、アルバム紹介ページの中の、
《As Time Goes By》の試聴リンクをクリックすると、
彼のしゃがれた、微笑をたたえた語りを聴くことができます。
アルバムの中では、曲によって、ゲストでアコーディオニストも登場して、
さらに《パリ気分》を盛り上げてくれますッ♪
ぼくは今でも、
うれしい時はもちろん、
いろんなことに迷った時にも、
よく、彼のCDを聴いてます。
この人の弾くヴァイオリンは、
いつでもどんな時でも、
やさしく微笑みかけてくれるんだよね。
特に晩年の演奏では、
音を出してない時まで、
ほかのミュージシャンがソロを取っていて、休んでる時のまなざしまでいいんだよなぁ。
もちろん、映像を観てるわけじゃないから、
実際のところはわからないんだけど、
彼の音はまったく聴こえてきてないのに、
「好きに、自由に演奏していいんだよ」って、
微笑みながら語りかける声が聴こえてくるようで。
なんだか日向ぼっこの縁側で、おじいちゃんと話しているような、
そんなおだやかな心持ちになるんです。
ものすごいパワーであおられてるうちに、
元気になっちゃうような音楽も、もちろん素晴らしいけれど、
さりげなく寄り添って、
いつまでも話を聴いてくれるような、
そんな音楽も本当に素敵だなって思います。
さらにステファン・グラッペリーにディープに迫りたい人には、
彼自身の語りで半生を振り返る、
以下のDVDがおすすめですッ☆
もちろん、演奏シーンもたくさん入ってますッ♪
ア・ライフ・イン・ザ・ジャズ・センチュリー
ステファンの話になると、
つい、熱くなっちゃうんだよなぁ。(笑)
まだまだ代好きなアルバムやDVDもたっくさ?んあるんだけど、
それはまた、次の機会にッ♪
Happy Birthday Dear Stephane!!
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