2005年9月アーカイブ

《前のめりッ》
でも紹介されてるように、
今日は、友人でギタリストの杉山武さんの誕生日だ。

ぼくより5つ年上の彼を、
はじめて意識したのは、←くれぐれも誤解なきようにッ★
中学を卒業するかしないかって頃だった。

オーケストラのクラブでヴァイオリンを弾いていたぼくに、
「**がインドに行くっていうから、壮行会やるんだけど、
お前も来るか?」と、
トレーナーとして、教えに来てくれていた先輩から声がかかった。

「行きますッ」
ふたつ返事で先輩の後に続き、
校門を出て、向かったのは、
井の頭公園近くの飲み屋。

現役中学生のぼく以外、
すべての人が音大卒、
もしくは音大生という、
まさに刺激的な飲み会は、
それはそれはたのしいものだった。

宴もたけなわになってくると、
誰からともなく楽器をケースから取り出し、
はじまったのがブルースセッションだった。

フルートやトランペット、
それにホルンで、ソロを吹きまくる先輩達。
ファゴットで、ベースラインを吹いている人もいる。

「お前も弾けよッ」
そんな声があちこちから飛んできて、
ぼくもヴァイオリンのケースを開け、
生まれてはじめてのブルースセッションに加わった。

地下にある、
煙もくもくのお店で、
ビールを飲みながら、
無我夢中でヴァイオリン弾きまくったっけ。

周りのおとなたちは、
そんなぼくを、
たいそうおもしろがってくれて、
それが、とにかくうれしかった。

アドリブ、
アルコール、
煙、
他のテーブルに座っている、知らない人たちからの笑顔と拍手、
たまらなく自由で、
どこまでも開放的で、
でも、でたらめってわけじゃない。
この夜そこにあったすべてが、
ぼくにはあこがれだった。


そんなセッション中ずっと、
黙々とギターを弾いていたのが杉山武さんだった。

決して派手ではないんだけど、
独特のドライブ感で刻むリズム、
少ない音符の数ながら、
ものすごい存在感のソロ、
そんなギターを奏でる彼に、
ぼくは一発でやられてしまった。


だから数年後、
「いっしょにユニット組まないか?」と、
彼から誘いの電話がかかってきた時は、
まさに夢のようだった。

それからぼくらは、
《MISTRAL》というユニットを組んで、
あちこちで歌いはじめた。

《MISTRAL》では、
てっきりギターを弾かせてもらえるのかと思ったら、
「ギターふたりなんてユニットはどこにでもあるし、
そんなんじゃつまんないからヴァイオリン弾いたら」という一言で、
やむなくヴァイオリンに持ち替え、
「なんかさぁ、ひとりで歌ってても、
今イチつまんないんだよねぇ。
お前も歌えば」という投げかけに、
「ヴァイオリン弾きながらですかッ?!」と狼狽しながら返事をするも、
「そうだよ。
C-C-Bはドラム叩きながら歌ってるんだから、
ヴァイオリンだってできるでしょッ」という、
理屈が通ってるんだかいないんだかわからない、
大先輩からの一言。
それでも、ただただユニットを続けたい一心で、
必至に練習した《ヴァイオリンの弾き語り》。
おかげで、今のスタイルの原型ができあがったってわけだ。


そんな風に《MISTRAL》を続けていくうちに、
はじめは「杉山先輩」と、敬語を使って話していたぼくも、
だんだん生意気になってきて、
それに従って、
彼の呼び名も、「杉山くん」へ、
そしてついには「たけちゃん」へと変わっていった。
あこがれの大先輩を、
まさかこんな風に呼ぶ日がくるなんて、
あの頃のぼくには、
想像すらできなかった。


そんな《たけちゃん》と、
この間電話で話していたら、
ぼくがブルースセッションデビューしたお店が、
閉店してしまったことを聞かされた。

しょっちゅう通ってたわけじゃないし、
それどころか、
数えられる程度しか行ったことはないお店だったけど、
想い出の場所がなくなってしまったというのは、
やはりさみしい。

聞くところによると、
高田渡さん
も、よくこのお店にいらしていたそうだ。

向こうの飲み屋じゃ物足りなくて、
渡るさんが引き取りに来たのかな。


とここまで書いて、
たった今、
《衝撃的事実》を思い出したッ☆

《MISTRAL》を結成してしばらく経った頃、
「どうして声かけてくれたの?」と、
たけちゃんにたずねたことがあった。

「飲み会の時にさ、
ヴァイオリンで《踏み切りの音》出してたでしょ。
あれがおもしろいなと思って」

ぼくのブルース魂は、
彼には届いてなかったってことかッ?!

とんでもないことがはじまった。
《健全健康党》が政権を取ったとたん、
《チョコレート禁止令》が発令された。

それはチョコレートだけでなく、
体に悪い、砂糖や甘味料も、
すべて禁止という法律だった。

大好きなチョコレートを、
食べられなくなってしまった主人公はもちろん、
ケーキ職人として、
数々の賞を受賞してきた、
彼の父親も、
「こんな法律の下じゃ、
おいしいケーキなんて作れない」と、
おおいに憤っていた。

そんな夫を見て、
妻が一言。

「だってあなた、投票に行ってないじゃない」

ほどなく、この家でも、
《強制捜査》が執行された。


まぁ、その後の展開は、
ハッピーエンドへと向かっていく、
お決まりっちゃお決まりのものなんだけど、
たまたま図書館から借りた、
《チョコレート・アンダーグラウンド(アレックス・シアラー著)》は、
思いのほか、
おもしろい本だった。

子どもたちに味方して、
地価でチョコレート密造をする、
お菓子屋のおばさんや、
不法所持がバレて、
《更正施設》へと強制装置されてしまうクラスメート。
健全健康等の少年部に所属して、
主人公たちの行動を密告する子ども、
そして、
チョコレートのコマーシャルで一斉を風靡していたのに、
法律施行とともに仕事を干され、
ホームレスにまで成り下がってしまった役者の男...。

《権力》によって、
《権利》を剥奪された、
登場人物たちの物語は、
時期も時期なだけに、
ただただ笑ってばかりもいられなかった。


そんなわけで、
ぼくも今から、
期日前投票に行ってきますッ♪

今回の選挙報道を見てると、
時として、
不愉快になったりもするけれど、
今回選んだ人たちが、
郵政だけでなく、
イラクや年金をはじめとした、
大切な案件についても、
大いに影響力を持つことになるという部分もふまえて、
一票を投じてくるつもりです。

しっかしさぁ、
「国民による選択」なんて名目で、
解散するんだったら、
イラク派兵の是非についても、
きっちり問うてほしかったよなぁ。

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