DIALOG IN THE GARK

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《真っ暗闇の中を、ガイドの声をたよりに歩く》というイベント、
《DIALOG IN THE DARK(DID)》に、行ってきた。

真っ先に感じたのは、
「ものすごく、《守られてる空間》だなぁ」ってこと。

もちろん、
参加者にケガなんかさせちゃ大変だし、
段差やスロープについても、
ものすごく考え抜かれた上で、
建てられたスペースだからということは、
重々承知している。

ただ、やっぱり、
毎日毎日、
突然現われる、猛スピードの車や、
携帯片手に突っ走る自転車、
さらには、
どこに停まっているかわからない、
ハッチをはね上げたまま、作業しているバン、
はたまた、
昨日まではなかった、
工事中の穴ぼこなんかをよけながら、
歩いているぼくにとっては、
それこそ、
《目をつぶってても歩けちゃう》ってくらい、(笑)
たまらなく安全な空間だった。

でも、
はじめて白い杖をつくことになった、みなさんにとっては、
かなり、おっかなびっくりの体験になったみたいで、
それを観ているのは、
とても新鮮なことだった。
そして、今回セッションに参加したことで、
ぼくも、たくさんの発見をさせてもらった。


セッションは、
アテンド担当の視覚に障害を持った方の誘導で、
ぼく以外、6人の参加者と、
様々な環境の部屋を周るというものだった。

その中のひとつに、
真っ暗闇でブランコに乗るというものがあった。

最初にこのブランコに乗った、
20代くらいの姉妹のおどろき方は、
とてもおもしろかった。

「なにこれッ!
普通のブランコとは、ぜんぜん違う揺れ方してるッ」
「ほんとだッ、ななめに揺れるッ」
まるで生まれて初めて、
ブランコに乗ったみたいなはしゃぎ方だ。

「次に乗りたい方ッ」という声に、
すかさず「はいッ」と返事して、
ブランコがあると思われる方向へと歩いていった。

杖の先が座面に当たり、
手を伸ばして確かめてから、
体の向きをかえて座ってみる。

左手を横に伸ばすと、
すぐに、ブランコをつっているワイヤーに触れたので、
それを握り、
地面をけった。

取り立てて、
特別な動きなど何もない、
それどころか、
安全のためにか、
とてもゆっくり、
かつ、少しの角度しか、
動かないようになっているブランコだった。

「な?んだぁ。普通じゃん」
思わず声に出ちゃったけど、
最初に乗ったふたりのおどろきや感動を、
思いっきり否定してしまったような気がして、
なんだか申し訳ない気持ちになった。
こういう世界初体験のみなさんにも、
そして、
アテンドを担当している側にとっても、
オレの存在、
けっこうタチ悪かったかも。(苦笑)

ほかにも、
わらが敷き詰められた部屋で横になったり、
注文した飲み物(もちろんぼくはビールッ☆)を、
真っ暗なバーカウンターで、
みんなで飲んでみる、なんていうものまであった。

このバーカウンターでは、
ちいさな音で、ジャズが流されていた。
DIDの期間だけ、
急ごしらえで作られたスペースだし、
照明をつけたら、
内装も、
たいして凝った造りじゃないんだろうけど、
こんな風に、
薄くBGMが流れるだけで、
ぐっと雰囲気が変わるのはおもしろい。


そんな、暗闇の小旅行を、
とてもたのしいものにしてくれたのは、
なんと言っても、
アテンドを担当してくれた、
通称《あっこちゃん》の力だと思う。

暗闇に響く彼女の明るい声は、
参加者にとっては光であり、
道しるべだったと思う。
みんなが彼女をたよりにしてる感じが、
ひしひしと伝わってきたし。


今回セッションに参加して、
一番強く感じたのは、
《コミュニケーションの大切さ》だった。
アイコンタクトとか、
あうんの呼吸で《察する》という行為ではなく、
しっかり自分の声で、
自分の言葉で、相手に伝えること。

メッセージを受け取った方だって、
そのことを、ちゃんと伝えなければ、
成立しないって空間は、
本当におもしろかった。

みんなが誰かに「伝えよう」として発する言葉は、
とてもやさしかったなぁ。

聞くところによると、
別のセッションでアテンドを担当していた中に、
わざと黙り込んじゃうという、
《いたずら》を仕掛けた人がいるらしい。

もしぼくが、
アテンドを担当することになったなら、
これ、絶対やっちゃうだろうなぁ。
その時のみんなの右往左往を想像すると、
思わずにやにやしてしまう。


そしてもうひとつ。
暗闇の中なのに、
相手の表情が見えてくる。
これってラジオを聴いてる時にも、
感じる間隔とよく似てると思った。


すべての行程を終え、
光の中に戻ってから、
アテンドのあっこちゃんと、
あいさつをしていたら、
かつて彼女が、
ぼくのライブに参加したことがあるということが発覚して、
これには、ものすごくおどろいて、
そしてもちろん、うれしかった。


「せっかくおもしろい体験をしたし、
《コミュニケーション》ってものについて、
もうちょっと考えてみたいなぁ」なんて思いながら、
ふたたびぼくは、危険がいっぱいの、光差す世界へと踏み出した。

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このページは、Mプロが2005年11月25日 14:08に書いたブログ記事です。

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